【レビュー】二宮敦人著「最後の医者は桜を見上げて君を想う」

二宮敦人
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本を読むのが好きです。一時期は本から離れていましたが、最近また読むようになりました。

読書の効能は色々言われていますが、自分では経験しきれないことも疑似体験させてくれる、それによって自分の幅が広げられるのも効能の1つですね。

今回は経験したくないけれど、疑似体験のおかげで命の有り難みを感じさせてくれる本のレビューです。

  • 泣きたい人
  • 命のありがたみを再認識したい人
  • 病気やその治療の大変さを擬似体験したい人

以上の方におすすめです。号泣します。

「最後の医者は桜を見上げて君を想う」二宮敦人(TO文庫)

まずどんな本かというとタイトル通り医者の話です。シリーズがあって全3冊です。

続々重版、25万部突破!本読み書店員が選ぶ「感動小説」第1位!
自分の余命を知った時、あなたならどうしますか?
死を肯定する医者×生に賭ける医者
対立する二人の医者と患者の最後の日々――
衝撃と感動の医療ドラマ!

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人気があるシリーズで映画化もされるそうです。
あらすじはというと

あなたの余命は半年です――ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副院長・福原は奇跡を信じ最後まで「生」を諦めない。対立する二人が限られた時間の中で挑む戦いの結末とは? 究極の選択を前に、患者たちは何を決断できるのか? それぞれの生き様を通して描かれる、眩いほどの人生の光。息を呑む衝撃と感動の医療ドラマ誕生!

【文庫書き下ろし】

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対極した信念を持つ2人の医者のぶつかり合いを軸に、全3話で進んでいきます。出てくる病は3種類。

  • 白血病
  • ALS

どの話も号泣します。そんなつもりじゃなかったのに号泣しました。1話ごとに1人の患者さんの話です。

1話目 白血病

最近疲れたと思いながら仕事に頑張っていた、ある成人男性。妻のお腹には6ヶ月の子がいます。疲れ方がひどく、訪れた病院で白血病を宣告されます。

そしてその瞬間から闘病生活が始まります。仕事も妻のお腹の子も、そんな事情は待ってくれません。進行する病気と、流されるまま始まる治療。

さっきまでの日常が急に終わります。それがえげつなく容赦ありません。

疲れたなーで行った病院で「死にます」って言われる。
「は?抜けてきた会社に戻りたいんです」「今から入院です」というスピーディさ。ええ…
急に入院させられ、始まる放射線治療のえげつなさ。どれもが背筋凍ります。

ヘタなホラーよりよっっっっぽど怖い。

家に残された妻とお腹の子も辛い。読んでいて白血病の恐ろしさを初めて知りました。と、同時に日常の危うい有り難さも感じます。

治療は死と隣り合わせで続きます。これをすれば何%生きられる、かも。この治療にしたら何%は死ぬ、かも。

かも、かも、かも。

余命を突きつけられ、不確かな治るとは言ってもらえない、確率でしかない治療を待ったなしで選択させられる患者。

その患者に死を受け入れる囁きをする医者・桐子。
なんとしてでも生にしがみつかせようとする医者・福原。

そして患者が選ぶ治療ーーー

自分だったら、家族だったら?と思うと…

2話目 ALS

2話目は最近嘱託殺人で話題にもなったALS

どの病気も、恥ずかしながら今までどれほど大変か知りませんでした。

ALSは段々体の自由が利かなくなり、食事排泄息をすることも自分で出来なくなります。なのに5感だけは死ぬ最後まで残ると言う「精神の拷問」のような病気だそうです。症状が怖い。

そして現代医学では治療法が、ない。

そしてこの患者は医者を目指して、3浪でようやく医学部に受かったばかりの女子学生です。医者の両親に憧れ、医者の卵として出発しようとした矢先に発覚します。え、えぐい…

最近よくこけるなあ。それが症状の始まりでした。

そして進行が早く、たった4ヶ月で体の自由が利かなくなっていきます。

担当した医者はその少女の医学部のOBでした。生かそうとする医者・福原と、死もやむ無しの医者・桐子の同期である音山です。どちらの信念にも属せない迷ってばかりの医者。
彼は最後まで担当することに決めます。

息ができなくても、食事ができなくても、現代医学では生かすことができます。
死が近づく中、少女とその担当医が下す結論とはーーー

いやいやこんなんひどすぎる‼︎! それが病魔。

どの話も病気になるのが突然すぎるんですよ。いや、気づかないうちに静かに進行している…それがあまりにも怖い。

生きるのも死ぬのも決断が迫られる。それが病気…

3話目 癌

もう結構しんどいですね…(なんちゅう感想)

桐子は最近咳がひどく、同期の医者・音山に診てもらう事になります。そこで発覚するのがーーー

ここで福原・桐子の対立が再び描かれます。生きる事死ぬ事、生きるとはどういうことなのか。

この3話目、タイトルが「ある医者の死」といいます。ネタバレにもなるので内容には触れません。

医者の死といえば「白い巨塔」が連想されますが、やっぱり医者も命を突きつけられると人間性出るんだなあという印象です。

生き長らえることが正解なのか、どう生きるのがいいのか、考えさせられます。

読後

どの病気も難病です。治る確率があったり、治らなかったりします。日常の裏で静かに進行し、気づいたときには、もう。

特に怖い病気ばかりだったので、余計に平凡な日常が際立ちます。

  • 息ができること
  • 会話ができること
  • 家族とドラマチックの欠片もない日々を過ごすこと。

どれもが有り難く尊く感じます。命をまざまざと感じさせてくれました。

  • 泣きたい人
  • 命のありがたみを再認識したい人
  • 病気やその治療の大変さを擬似体験したい人

以上の方に特におすすめです。良かったら読んでみてください。

余談・そもそもKindleでジャケ買いで、最初はラノベかBLかと思ってたのですが(笑)、そんなつもりで読んでたので余計に不意打ちで号泣でした。

良い明日をー!

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